診療内容について、ご相談・ご質問等、
お気軽にご連絡ください。※お電話のおかけ間違いが多発しております。
ご注意いただけますようお願いいたします。
デトックスタイプとは 「出せる人」と「溜め込む人」の違い
副腎疲労外来を始めて20年以上になりますが、以前は「解毒」という言葉を診療で使うことはほとんどありませんでした。栄養を補い、ホルモンを整え、睡眠や食事を改善する。それだけで元気になる患者さんがたくさんいました。
しかし近年、診療を続ける中で感じることがあります。
「現代人は、あまりにも多くのものに囲まれて生活している。」
食品添加物、農薬、プラスチック、重金属、カビ毒(マイコトキシン)、大気汚染、そして慢性感染。身体は毎日、これらを処理し続けています。
もちろん、人間には本来優れた解毒システムがあります。肝臓で代謝し、腎臓から尿として排泄し、便や汗からも不要なものを体外へ出しています。しかし、この能力には生まれつき個人差があります。
スクエアクリニックでSNPs遺伝子検査を始めてから、その理由が少しずつ見えてきました。
例えばGSTM1やGSTT1は、グルタチオンを利用して有害物質を無毒化する重要な酵素です。日本人では遺伝子そのものが欠失している方も少なくなく、その場合は解毒能力が低下しやすいと考えられています。
GSTP1も同じグルタチオン経路に関わり、酸化ストレスへの対応力に個人差を生みます。また、PON1は有機リン系農薬や酸化した脂質の解毒に関与する酵素で、この遺伝子に特徴がある方では農薬や化学物質の影響を受けやすい可能性があります。
さらに私が近年特に注目しているのがNRF2(NFE2L2)です。NRF2は「解毒の司令塔」とも呼ばれ、グルタチオン合成酵素や抗酸化酵素など、多くの防御システムを一斉に働かせます。司令塔が十分に機能しなければ、どれだけ良い栄養素を補給しても解毒システム全体は効率よく働きません。
一方、SOD2やCATは活性酸素を処理する抗酸化酵素です。解毒の過程では活性酸素も発生するため、解毒と抗酸化は車の両輪です。どちらか一方だけでは身体を守ることはできません。
もちろん、遺伝子だけですべてが決まるわけではありません。遺伝的に解毒能力がやや低くても、睡眠をしっかりとり、加工食品を減らし、腸内環境を整えれば、本来の解毒システムは十分働きます。反対に遺伝子が強くても、睡眠不足が続き、毎日アルコールを飲み、加工食品ばかり食べていれば、肝臓は疲弊してしまいます。
だから私は患者さんによくお話しします。
「解毒とは、出すことよりも、入れ過ぎないことです。」
最近はSNSなどで「デトックス」という言葉をよく目にします。しかし、何か特別なサプリメントを飲めば解毒できるわけではありません。
私が考える解毒とは、身体が本来持っている解毒能力を最大限に発揮できる環境をつくることです。
加工食品を減らす。農薬やカビ毒への曝露をできるだけ減らす。十分なタンパク質を摂る。睡眠を確保する。汗をかく。便秘を改善する。そして必要に応じてNACやグルタチオンなどを活用する。このような基本の積み重ねこそが、もっとも効果的な解毒だと考えています。
私は1,000人以上のSNPs遺伝子検査を診てきました。その中で確信していることがあります。
これからの時代は、「何を食べるか」だけではなく、「何を身体に入れないか」がますます重要になる。
デトックスタイプとは、弱い体質ではありません。
現代社会の環境を理解し、自分の身体を守る方法を知っておくべきタイプなのです。
遺伝子は変えられません。しかし生活は変えられます。だから私は、解毒医療とは「毒を出す医療」ではなく、「身体が本来持っている力を取り戻す医療」だと考えています。