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健康法の罠 あなたに合う健康法は、隣の人には合わないかもしれません
健康に関する情報は、毎日のようにテレビやSNSで流れてきます。
「○○を食べると長生きする」「1日1食が良い」「牛乳は完全栄養食」「グルテンフリーは意味がない」。どれも間違いではないのかもしれません。
しかし、すべての人に当てはまる健康法は存在しないと私は考えています。
なぜなら、人間は一人ひとり違うからです。遺伝子も違う、生まれ育った環境も違う、食生活も違う、仕事も違う、睡眠時間も違う、腸内細菌も違う。そして解毒能力も違います。
同じ牛乳を飲んでも、お腹を壊さない人もいれば、湿疹が悪化する人もいます。同じ小麦を食べても何も症状が出ない人もいれば、頭がぼんやりしたり、花粉症が悪化したりする人もいます。それなのに、「全員が同じ健康法を行えば健康になる」と考えること自体に無理があるのではないでしょうか。
私は健康づくりには二段階あると考えています。
まずは誰にでも共通する「最大公約数」の生活です。加工食品を減らす、糖質を摂り過ぎない、違法薬物に手を出さない、十分な睡眠を確保する、身体を動かす、喫煙を避ける。このような生活は、多くの人に共通する健康の土台になります。
しかし、本当に体調を整えようと思ったら、その先があります。
二段階目は、「自分に合わせて調整すること」です。
1日3食が合う人もいれば、2食の方が調子が良い人もいます。全くお酒を飲まない方が良い人もいれば、適量なら問題ない人もいます。ランニングが向いている人もいれば、筋力トレーニングやヨガの方が身体に合う人もいます。グルテンフリーが必要な人もいれば、そこまで厳密に行う必要がない人もいます。
スクエアクリニックでSNPs遺伝子検査を行っている理由は、「特別な治療」をするためではありません。
その人に合った生活を、一緒に見つけるためです。
最近、「多様性」という言葉をよく耳にします。学校でも企業でも、多様性を尊重しましょうと言われます。とても素晴らしいことです。
しかし、多様性は性別やセクシュアリティだけではありません。
食生活にも多様性があります。
例えば、牛乳をやめたことで湿疹や腹痛が改善する子どもがいます。それでも一部の自治体では、「牛乳は健康に良い」という前提で全員に飲むことを勧めています。学校では「一人ひとりの個性を大切にしましょう」と言いながら、給食では全員が同じものを食べることが当たり前になっている地域もあります。
もちろん学校給食には、栄養管理や教育、運営上の大切な役割があります。しかし、食物アレルギーへの対応が進んできたように、これからは体質や遺伝的背景に応じた「食の多様性」についても議論される時代になってほしいと思っています。
私は1,000人以上のSNPs遺伝子検査を診てきました。その中で確信していることがあります。
健康とは、正解を探すことではありません。自分に合う答えを探すことです。
誰かに効いた健康法が、自分にも効くとは限りません。逆に、自分には必要な健康法でも、他の人には必要ないかもしれません。
だからこそ健康情報に振り回されるのではなく、まずは最大公約数の生活を実践し、その上で自分の体質に合わせて少しずつ調整していくことが大切です。
これからの医療は、「みんな同じ治療」から「一人ひとりに合わせた医療」へ変わっていくでしょう。
私は、その第一歩は自分の身体を知り、他人との違いを認めることだと考えています。
遺伝子を知ることは、自分を知ること。そして隣にいる人を理解することです。
そこに、本当の意味での「健康」と「多様性」があるのではないでしょうか。