2026.07.07

【原始反射 STNRとは? 学校生活で見える“姿勢・読み書き・集中”の困りごと】

【原始反射 STNRとは? 学校生活で見える“姿勢・読み書き・集中”の困りごと】

学校生活で見える“姿勢・読み書き・集中”の困りごと

子どもが授業中にぐにゃっと座っている。
机に顔が近い。
ノートを書くのが遅い。
板書が苦手。
音読で行を見失う。
体育で手足の動きがぎこちない。

こうした様子を見ると、大人はつい
「ちゃんと座って」
「もっと集中して」
「字を丁寧に書いて」
と言いたくなるかもしれません。

でも、その背景に
“体の土台”の問題が隠れていることがあります。

その一つが、原始反射の残存です。

今回は、原始反射の中でも
STNRについてお話しします。

Symmetrical Tonic Neck Reflex 日本語では「対称性緊張性頸反射」

STNRとは、
Symmetrical Tonic Neck Reflex
日本語では「対称性緊張性頸反射」といいます。

首の動きと、手足の動きが連動する原始反射です。

具体的には、
頭を上げると、腕が伸びて、脚が曲がる。
頭を下げると、腕が曲がって、脚が伸びる。

このような動きのパターンです。

赤ちゃんの発達では、この反射はとても大切です。
うつ伏せから四つ這いになり、ハイハイへ進んでいく時期に、首・体幹・手足をつなげて使うための準備になります。

つまりSTNRは、赤ちゃんが
「体を支える」
「手足を協調させる」
「四つ這いで動く」
ために必要な発達のステップです。

ただし、成長してからもこの反射が強く残っていると、学校生活の中でさまざまな困りごととして見えることがあります。

STNRが残っている子の症状は?

STNRが残っている子は、座っている姿勢を保つこと自体が大変なことがあります。

椅子でぐにゃっと座る。
机に肘をつく。
足を椅子にのせる。
正座のように座る。
体を左右に揺らす。
長く座っていると疲れる。

こうした姿は、一見すると
「姿勢が悪い」
「落ち着きがない」
「やる気がない」
ように見えるかもしれません。

でも本人の中では、首の位置が変わるたびに、腕や脚、体幹の緊張が影響を受けて、まっすぐ座るためにかなりのエネルギーを使っている場合があります。

つまり、集中力の問題に見えて、実は
「座るだけで疲れている」
可能性があるのです。

次に、板書やノートです。

学校では、黒板を見る、手元を見る、また黒板を見る、またノートを見る、という動きを何度も繰り返します。

このとき、頭を上げたり下げたりする動きが多くなります。

STNRが残っていると、頭の動きに反応して、手足や体幹の緊張が変わりやすくなります。
そのため、姿勢を保ちながら、目で見て、手を動かして、文字を書くという一連の作業がとても大変になることがあります。

その結果、

書くのが遅い。
字が乱れる。
マスからはみ出す。
ノートの位置がずれる。
黒板を写しきれない。
途中でどこを書いているか分からなくなる。
書くとすぐ疲れる。

という困りごとにつながることがあります。

これは単に
「字が汚い」
「不器用」
ということだけではありません。

見る力 読む力 学習する力

見る力、姿勢を保つ力、手を動かす力を同時に使うことに、大きな負担がかかっている可能性があります。

さらに、読むことにも影響することがあります。

本を読むときには、目で文字を追いながら、頭と体を安定させる必要があります。
でも体幹が安定しにくいと、

読んでいる行を見失う。
音読で疲れる。
本に顔が近くなる。
指で追わないと読みにくい。
読むスピードが遅い。

といった様子が見られることがあります。

また、運動面では、

マット運動が苦手。
ボール運動がぎこちない。
ハイハイのような動きが苦手。
手足を別々に使うのが苦手。
体育で疲れやすい。

という形で表れることもあります。

STNRの残存は、姿勢だけでなく、読む・書く・見る・座る・運動する・集中する、という学校生活全体に関係することがあります。

STNRを統合するには?

では、STNRを統合していくためには、どのような動きが役立つのでしょうか。

大切なのは、首・体幹・手足をゆっくり分けて使う練習です。

まずおすすめは、キャット&カウです。

四つ這いになり、息を吸いながらゆっくり頭を上げて、背中を少しそらします。
次に、息を吐きながらゆっくり頭を下げて、背中を丸めます。

ポイントは、速くやらないこと。
反動を使わないこと。
呼吸を止めないこと。
肘をロックしないこと。
左右に倒れないこと。
痛みが出るほどやらないこと。

最初は5回で十分です。

目的は筋トレではありません。
首を動かしても、手足や体幹が大きく崩れないように、首・背中・手足のつながりをもう一度ていねいに整えることです。

次に、四つ這いでの前後ゆらしです。

四つ這いになり、手のひらで床を押して、背中を安定させます。
そのまま、ゆっくり前へ。
ゆっくり後ろへ。

この動きを繰り返します。

ポイントは、頭を下げすぎないこと。
お尻を引きすぎないこと。
背中を反らしすぎないこと。
肘を曲げすぎないこと。
呼吸を止めないこと。

STNRが強く残っている子は、頭やお尻の位置が変わると、腕や脚が一緒に動いてしまいやすいことがあります。

だからこそ、四つ這いで体を支えながら、前後にゆっくり動くことで、首・体幹・手足の協調を育てていきます。

1日5〜10回からで大丈夫です。

そして、慣れてきたら、ゆっくりしたハイハイもおすすめです。

四つ這いになり、右手を少し前へ、左膝を少し前へ。
次に、左手を少し前へ、右膝を少し前へ。

ゆっくり、ていねいに進みます。

ハイハイは、右手と左足、左手と右足を使うクロスパターンの動きです。
首・体幹・手足を協調させるため、原始反射の統合にはとても大切な動きです。

ただし、できない子に無理やりやらせる必要はありません。
速く進むことが目的ではありません。
きれいにできることより、安定してできることが大切です。

少しずつ、楽しく、短く。
疲れたら休む。
嫌がる日は無理をしない。

原始反射は、子どもを評価したり、できないことを責めたりするためのものではありません。

「なぜ、この子は座っているだけで疲れるのか」
「なぜ、板書がこんなに大変なのか」
「なぜ、読む・書く・運動することに負担がかかるのか」

その背景を理解するための視点です。

子どもの困りごとの奥には、
努力不足ではなく、体の使いにくさが隠れていることがあります。

STNRは、その体の土台を見直すための大切なヒントになります。

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