2026.06.23

原始反射のTLRってなに?               姿勢・バランス・目の使い方に関わる「赤ちゃん時代の反射」

原始反射のTLRってなに?               姿勢・バランス・目の使い方に関わる「赤ちゃん時代の反射」

赤ちゃんは、「原始反射」を持って生まれてきます。
これは、生きるため、体を動かすため、脳と体を発達させるために必要な自動的な反応です。

TLR:Tonic Labyrinthine Reflex 

TLR:Tonic Labyrinthine Reflex 日本語では 緊張性迷路反射 と呼ばれます。
TLRは、簡単に言うと、

頭の位置が変わると、体の筋肉の緊張も自動的に変わる反射

です。

たとえば、赤ちゃんが頭を後ろに反らすと、体全体が伸びやすくなります。
反対に、頭が前に倒れると、体が丸まりやすくなります。

これは赤ちゃんが、重力の中で頭を支えたり、寝返り、ずりばい、ハイハイ、立つ、歩くという発達に進んでいくために大切な反射です。TLRは姿勢・バランス・協調運動に関係すると説明されています。

TLRが残っていると、どんな困りごとが出る?

本来、原始反射は成長とともに少しずつ「統合」されていきます。
統合とは、反射が完全になくなるというより、必要なときに脳がコントロールできる状態になることです。

でも、TLRが強く残っていると、頭の位置や姿勢の変化に体が過剰に反応しやすくなります。

すると、学校生活ではこんな困りごとにつながることがあります。

学校生活で見られやすいサイン

・椅子にまっすぐ座っていられない
・すぐ机に突っ伏す
・姿勢が崩れやすい
・背中が丸い、または反りやすい
・板書が苦手
・ノートを書くと疲れやすい
・体育でバランス運動が苦手
・ボール遊びが苦手
・階段や平均台が不安定
・乗り物酔いしやすい
・集中が続かない
・授業中に体を動かしたくなる
・読む、書く、見る作業で疲れやすい

これは「やる気がない」「ふざけている」という問題ではなく、
脳と体が、重力・姿勢・目の情報を処理するのに余分なエネルギーを使っている状態
かもしれません。研究でも、学齢期以降に原始反射が残っていることは、神経運動発達の未熟さや運動スキルの困難と関連する可能性が報告されています。ただし、原始反射だけで発達特性や学習困難を診断するものではありません。

TLRとVisionの関係

TLRは、体の姿勢だけでなく、Vision:見る力 にも関係します。

ここでいうVisionは、視力検査で測る「1.0見える」という視力だけではありません。

大切なのは、

目を動かす力
ピントを合わせる力
両目を一緒に使う力
見たものを脳で理解する力
体のバランスを保ちながら見る力

です。

TLRが残っていると、頭の位置が少し変わるだけで体の緊張が変わりやすくなります。
そのため、目も安定して使いにくくなることがあります。

たとえば、

・本を読むと行を飛ばす
・文字を追うのが苦手
・板書で黒板とノートを交互に見るのが疲れる
・近くと遠くのピント切り替えが遅い
・文字が揺れる、ぼやける感じがする
・読むとすぐ眠くなる
・姿勢を崩さないと見にくい
・首を傾けて見る
・目ではなく頭ごと動かして見る

このようなサインが出ることがあります。

つまり、TLRが残っている子は、
姿勢を保つこと
バランスを取ること
目を安定して使うこと
を同時にがんばっている可能性があります。

そのため、読み書きの困難があるときには、視力だけでなく、姿勢・原始反射・眼球運動・両眼視・前庭感覚も一緒に見ていくことが大切です。

TLRを統合するためにできる遊びや運動

TLRの統合には、
頭の位置を変える動き
うつ伏せ・仰向けの動き
バランスを使う遊び
目と体を一緒に使う遊び
が役立ちます。

大切なのは、無理にトレーニングすることではなく、
楽しく、短く、毎日少しずつ です。

うつ伏せ遊び

床にうつ伏せになって、肘をついて本を読む。
うつ伏せでパズルをする。
うつ伏せでボールを転がす。

うつ伏せは、首・背中・体幹を使うため、TLRの統合にとても大切です。

スーパーマン遊び

うつ伏せで、手足を少し浮かせて「スーパーマン!」
最初は1〜3秒でも十分です。

背中側の筋肉、首、体幹を使います。

だるまさん・丸まり遊び

仰向けで膝を抱えて丸くなる。
ゆらゆら転がる。
起き上がりこぼしのように遊ぶ。

頭が前に入る動きと、体を丸める動きのコントロールにつながります。

動物歩き

くま歩き
ワニ歩き
カエルジャンプ
アザラシ歩き

手足を協調して使う遊びは、原始反射の統合にとてもよい運動です。

バランス遊び

平均台
片足立ち
ケンケン
線の上を歩く
クッションの上でバランスを取る

バランス感覚、前庭感覚、姿勢コントロールを育てます。

目と体を一緒に使う遊び

風船バレー
ボールキャッチ
シャボン玉を目で追う
ライトや指をゆっくり目で追う
黒板とノートを見るように、遠く・近くを交互に見る遊び

Visionの発達には、目だけでなく、体幹・首・バランスが関係します。

まとめ

TLRは、赤ちゃん時代に大切な原始反射です。
でも、成長しても強く残っていると、姿勢、バランス、集中、読み書き、Visionに影響することがあります。

学校で困っている子の中には、
「勉強が嫌い」
「集中力がない」
「姿勢が悪い」
の前に、

体を保つだけで、すでにがんばっている子

がいます。

だからこそ、
姿勢を注意するだけでなく、
体の発達、原始反射、目の使い方、感覚の過敏さを一緒に見ていくことが大切です。

子どもの困りごとは、
心の問題だけでも、性格の問題だけでもありません。

脳・体・感覚・Visionがつながっている
という視点で見ると、支援の入り口が見えてくることがあります。

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