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― “異常なし”のその先へ:臨床医としての違和感から始まった20年 ―
スクエアクリニックは、2026年をもって副腎疲労外来開設20周年を迎えました。
本ブログでは、これまでの臨床経験をもとに、
- 慢性疲労・副腎疲労様症候群
- 自閉スペクトラム症
- PANS/PANDAS
- バイオロジカル検査
- SNPs遺伝子解析
について、医療者の皆様にも共有可能な形で整理していきます。
出発点は「自分自身が説明できない患者だった」こと
私は10代より、
- 持続する強い疲労感
- 集中力低下(いわゆるBrain Fog)
- 睡眠の質の低下
といった症状を抱えていました。大学院生の頃には症状は増悪し、日常生活が困難なレベルまで機能低下しました。
当時、複数の医療機関で
- 血液検査
- 画像検査
を受けましたが、結果はすべて
「異常なし」
最終的に精神科領域として扱われ、複数の向精神薬を試みましたが、臨床的改善は得られませんでした。
臨床医としての転機 ― DR. WILSONとの出会い
転機となったのは、米国における副腎機能低下(いわゆるAdrenal Fatigue)へのアプローチでした。Dr. Wilsonのもとで治療を受け、段階的に機能回復を実感しました。
ここで重要だったのは、
- 単一臓器ではなく「全身調整系」としての評価
- ストレス応答・内分泌・栄養状態の統合的把握
- 時間軸(慢性化プロセス)を含めた診療
でした。
この経験を契機に、「従来の検査では捉えきれない病態」に対する臨床を志しました。
副腎疲労外来開設当初の状況
約20年前、日本において「副腎疲労」という概念はほぼ認知されていませんでした。
そのため、
- 病態そのものの否定
- 医学的根拠への批判
といった状況が続きました。この傾向は、約10年近く続いたと記憶しています。それでも患者は存在し続けた一方で外来には、明らかに「既存の枠組みでは説明困難な慢性疲労患者」が来院し続けました。
特徴的だったのは、
- 医師
- 看護師
- 薬剤師
といった医療従事者自身の受診が多かったことです。
彼らは「異常がない=問題がない」ではないことを、臨床経験から理解しています。つまり、
現在の検査系が捉えていないだけで、病態は存在する可能性がある
という前提に立っている点が特徴的でした。いまでもスクエアクリニックへの医療従事者さんの受診は多いです。
なぜ「精神科紹介」で終わるのか
慢性疲労症状を呈する患者の多くは、
- 炎症マーカー正常
- 画像異常なし
- 内分泌検査も基準値内
という状況になります。このとき臨床現場では、「機能的異常」を扱う枠組みが乏しいため、精神科紹介となるケースが多いと考えています。もちろん精神科的介入が有効な症例もありますが、
- 代謝異常
- ミトコンドリア機能低下
- 神経伝達物質バランス異常
- 慢性炎症・感染
- 相対的なホルモン不足
といった要素が関与する症例では、十分な治療効果が得られないケースも存在します。
誤解していただきたくない点
ここで強調したいのは、私は既存医療を否定する立場ではないということです。
実際の臨床では、
- 抗生剤
- 抗炎症薬
- 免疫調整治療
など、現代医学の介入が不可欠です。我々のアプローチは、既存医療ではカバーしきれない領域を補完するものであり、対立ではなく統合です。
この20年で変わったこと
この20年間で大きく進歩したのは、「見えなかったものを可視化する技術」です。現在では、
- 有機酸検査
- マイコトキシン検査、TOX検査
- 腸内環境PCR解析
- SNPs遺伝子解析(数千〜数万箇所)
- ライム病 HHV6検査
- リンパ球活性 インターロイキン測定
などにより、
従来「異常なし」とされていた症例の中にも、異常値が存在することが見えてきています。
今後このブログで扱うテーマ
今後は以下の内容を中心に、
再現性と臨床応用性を意識して発信していきます。
- 慢性疲労・副腎疲労病態
- 遺伝子 × 環境 × 栄養 × 時間 の統合モデル
- 自閉スペクトラム症における代謝・免疫異常
- PANS/PANDASの炎症・感染モデル
- 検査データの読み方(実臨床ベース)
終わりに
副腎疲労という言葉自体には、今もなお賛否があります。
しかし臨床の現場には、「既存の診断体系では説明できない患者さん」
が確実に存在します。
このブログが、
- 臨床上の違和感を言語化する一助
- 新たな視点の共有
- 患者さん理解
につながれば幸いです。
スクエアクリニック
本間龍介
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2686Z0W6A320C2000000/