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カビより怖い「カビ毒」 マイコトキシンをご存じですか?
カビより怖い「カビ毒」
マイコトキシンをご存じですか?
カビが身体に良くないことは誰でも知っています。
お風呂にカビが生えれば掃除をしますし、台所にカビを見つければ取り除きます。これから夏を迎えるにあたり、エアコンのカビ掃除を予定している方も多いのではないでしょうか。
しかし私が診療の中で問題視しているのは、カビそのものではなく、カビが作り出す毒素である「マイコトキシン」です。
マイコトキシンは日本語で「カビ毒」と呼ばれます。農林水産省も注意喚起を行っているように、一部のマイコトキシンには発がん性や神経毒性があることが知られています。しかし一般の方で「マイコトキシン」という言葉を知っている方はそれほど多くありません。
なぜでしょうか。
それはマイコトキシンが目に見えないからです。
カビが生えたパンであれば誰も食べません。しかし、輸送や保管の過程で穀物に付着したカビが作り出した毒素は、見た目ではわかりません。カビそのものは加熱によって死滅しても、マイコトキシンは残留することがあります。そのため私たちは知らないうちにカビ毒を摂取している可能性があるのです。
特に問題となりやすいのは小麦です。
その他にもコーヒー、ナッツ類、トウモロコシなどは世界的にマイコトキシン汚染が問題となることがあります。日本人にとって小麦は非常に身近な食品です。パン、うどん、パスタ、クッキー、ケーキなど、毎日のように口にする方も少なくありません。
私はグルテンフリーを勧めることがありますが、その理由はグルテンだけではありません。
グルテンによる免疫反応や腸管への影響もありますが、マイコトキシンへの曝露を減らすという意味もあるのです。
スクエアクリニックではマイコトキシン検査を行っていますが、神経毒性が指摘されるオクラトキシンやグリオトキシンが高値を示す方をしばしば経験します。そのような方に対して解毒や排出のサポートを行うと、ブレインフォグが改善したり、疲労感が軽減したり、腹部脂肪が減少したりすることがあります。
もちろん全ての症状がマイコトキシンだけで説明できるわけではありません。しかし原因不明の疲労感や認知機能低下、集中力低下などの背景には、無視できない要素の一つであると感じています。
近年私が特に注目しているのはミコフェノール酸です。
ミコフェノール酸は一部のカビが産生する物質であり、免疫抑制作用を持っています。実際に医療現場では、その作用を利用した免疫抑制薬も存在します。
薬として利用すると治療になりますが、体内に不要な形で存在している場合はどうでしょうか。
私たちの診療経験では、自己免疫疾患を持つ患者さんにミコフェノール酸高値が見られることがあります。そして解毒や排出のサポートによって症状改善を経験するケースも少なくありません。
もちろん今後さらなる研究が必要な分野ですが、非常に興味深い領域です。
私は副腎疲労や慢性疲労、発達障害、自己免疫疾患を診療していて常に感じることがあります。
それは、
「何を摂るか」
と同じくらい、
「何を減らすか」
が重要だということです。
現代人はサプリメントや健康食品に目が向きがちですが、その前に不要な負荷を減らすことが大切です。
グルテンフリーも、単に小麦タンパク質を避けるだけではありません。結果としてマイコトキシンへの曝露機会を減らしている可能性があります。
私はこれを「引き算の医療」と呼んでいます。
現代人は栄養不足だけでなく、様々な毒素にもさらされています。
だからこそ、何かを足す前に、まず不要なものを減らしてみる。
それだけで身体が楽になることもあるのです。
まずはエアコン掃除から始めてみませんか。
身体の中も、住環境も、カビ対策は意外と大切なのかもしれません。
スクエアクリニック
副院長 本間 龍介